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  • Yuji Ishibashi
    戦略設計やブランディング、デザイン表現を強みとしたWebデザイナー/ディレクター。数社の制作会社に勤めたのち、現在は"mono."の屋号でフリーのweb制作者として活動中。
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【企業の”らしさ”を見つける】ブランディング/ストラテジーに使えるフレームワーク

私はブランディングとはそのサービスの”らしさ”に気づき、それをどう表現や行動に変換するかという点が肝になると考えています。

ただし、その”らしさ”に気づくと言うのは簡単なことではありません。
思いつくままに闇雲に”らしさ”を書き出していっても、内容に一貫性がなくなってしまったり、今後の表現や行動を考える上で必要な情報が抜け落ちてしまったりしやすいです。
そのため、多くの場合、一定の取っ掛かりがあった方が必要な情報を洗い出しやすくなります。

この取っ掛かりが「フレームワーク」です。
目的に応じた適切なフレームワークを活用することで、その企業らしさに気づき、今後の表現・行動を考えるヒントになる情報を多く見つけ出すことができます。

この記事では、そんなブランディングを考える時に使えるフレームワークを集めてみました。
ちなみに各画像の例として書いている内容は架空のweb制作会社をイメージしています。

1.ペルソナ:ターゲットを定義する

ペルソナとはターゲットの中心となるような方がどのような人物像なのかを整理するために、そう言った方がもつ属性を細かく設定することです。

ブランディングや戦略を考える上で最も大切な内容の一つが「誰をターゲットとしたブランドなのか?」ということ。

ターゲットのイメージがクリアになるほど、その後の戦略や施策などが考えやすくなるので、

ターゲットの中心となる方が、例えば年齢、性別、住まい、職業、収入、趣味、価値観、情報収集方法、ライフスタイル、、などどういう属性を持っているのかを整理したものがペルソナです。

2.PEST分析:世の中との関係から事業の将来性を探る

PEST分析は外部要因を調査・分析するために用いるフレームワークで、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字を取ったものです。

事業戦略を考える際に、外的要因について分析することでその分野に将来性がありそうか考えるためのフレームワークですね。

例えば社会的にSDGsが求められているから今プラスチック素材を積極的に使った製品を開発しても時代に求められず成功できない可能性が高い、 AIが発達してきている中、決まった作業だけをするオペレーション思考の会社を立ち上げても淘汰されてしまう可能性が高い。

のように活用していって、今考えている戦略が時代にマッチしているかを分析していくような使い方をします。

3.3C分析:サービスを取り巻く身近な環境を探る

3C分析はCompany(自社)、Competitors(競合)、Customers(顧客)の3つをまとめたものです。

簡単に言うとCompany(自社)で自社が持つ強みや弱みを、Competitors(競合)では自社と同様の観点で競合他社が持つ強みや弱みを、Customers(顧客)ではターゲット顧客が持つニーズを洗い出します。

そして、顧客のニーズにも合致していて、なおかつ競合にはない(あるいは競合より有利な)、自社が提供できるサービスや価値を抽出していきます。

4.4P:サービスの販売戦略を決める

4PはProduct、Price、Place、Promotionの頭文字をまとめたフレームワークで、サービスの具体的な販売戦略を決めるものです。
マーケティングミックスと呼ばれることもあり、ブランディングというよりマーケティング的な性質の強いフレームワークかもしれません。

文字通りですがProductは製品の特徴を、Priceは価格設定を、Promotionは販売促進手法を、Placeは製品の流通経路(場所)を考える項目というイメージです。

ブランディングで考えたことを活かして、利益を最大化させるために活用するフレームワークという印象です。そのサービスが持つ価値を、どういう宣伝をしてどこで販売するのが最も適しているか、を考えていくフレームワークです。

5.4C:顧客から見た価値を決める

4Pと対にある考え方として4Cという概念があります。
これは顧客視点で見た時の価値を定める考え方で、Consumer Value(顧客価値)、Cost(コスト)、Communication(コミュニケーション手法)、Convenience(利便性)の4点があります。

4Pの言い換えにような内容になりますが、4Pで定義していた内容を顧客視点で考えることで、4Pがユーザーからもベネフィットとなっているかを検証することができます。

6.VRIO分析:企業が持つ能力や資源を整理する

VRIOはValue(経済価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)の頭文字を取ったフレームワークです。

提供するサービスにはどんな価値が認められるのか、競合他社と比べても独自性があって他の企業に簡単には真似されにくそうか、組織が持つ制度や文化、資源にどんな強みがあるか、といったことを整理していきます。

7.SWOT分析:ブランドの強み弱みを把握する

SWOT分析はStrengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(可能性)、Threats(脅威)の頭文字を取ったフレームワークです。

自社や競合他社の内外部環境を分析し、自社が持つ強みや弱み、市場や社会の変化によってどんな機会が生まれるのか、どんな脅威があるのかを把握することができます。

この分析を行うことで、自社の方向性を再確認したり、戦略の立案や改善点の把握に役立てることができます。ただし、SWOT分析はあくまで情報収集の手段に過ぎず、分析に基づいた適切な戦略が必ずしも生まれるわけではありません。

VRIOと本質的には近そうな気がします。

8.ライフサイクル理論:プロダクトの成長段階を把握する

ライフサイクル理論は、製品やサービスなどが市場に出回る過程で、需要や利益がどのように変化するかを示すフレームワークです。

提供するサービスの市場が今どの成長段階にいるかを把握することで、取るべき戦略や長期予測を立てることができます。

ライフサイクル理論は大きく市場導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階で分けられています。
市場導入期は研究開発であったり、需要を喚起するための宣伝活動が重要な時期、成長期では徐々に参入企業が増えてくるので、競合他社との差別化など独自性が求められるようになってきます。
成熟期ではすでにニーズが拡大してきている段階なので体験価値を向上といったことが求められるようになってきます。
衰退期では撤退するか、製品の改良や再ブランディングなどの再生策を模索することが必要です。

以前ご紹介したこちらの記事も少し近い内容に触れています。

9.USP:企業の特徴を端的に表現する

USPはUnique Selling Proposition(ユニークセリングポイント)の略で、商品やサービスの特徴や優位性を端的に表現するためのフレームワークです。
顧客にとって他社製品との差別化点を明確に示すことで、商品やサービスの認知度を高め、市場競争力を強化することができます。
「唯一の」「最初の」「最も」などの枕詞を付けられる特徴がUSPになりやすいです。

10.ポジショニングマップ:市場内の立ち位置を把握

USPと同様に、サービスの特徴を表現するためのフレームワークです。
ポジショニングマップの場合は、競合比較によってそのポジショニングを見つける点に特徴があります。
自社と競合他社の製品やサービスを軸に、それぞれの特徴や顧客の評価などをグラフに表し、自社の強みや弱み、競合優位性などを分析することができます。

ちなみに、一般的な手法か分かりませんが、2軸だけだと差別化ポイントを整理しきれない場合も多いので、私の場合はそういう時は複数枚のシートを用意してより多次元的に検証していくこともあります。

11.カスタマージャーニーマップ:顧客の心理段階を設計

カスタマージャーニーマップは、ユーザーが商品やサービスを購入するまでのプロセスを、ユーザーの心理段階を軸に、次の段階に進む動機、次の段階に進んでもらうために取るべきアプローチなどを整理する手法です。
購入までに感じる不安やストレスなどを見える化することで、購入に至るまでの施策に抜け漏れがないか、ユーザー心理とアプローチの間にギャップがないか、といったことを検証し適切な施策設計ができるようになります。

まとめ

いかがだったでしょうか?
こういったフレームワークを活用することで企業の”らしさ”定義に必要な点を網羅することができ、強度の高い戦略設計が可能になると考えています。
また、例えばデザインだけを行う場合など、直接的にブランディングや戦略設計に関わる場合でなくとも、これらの項目を元に関わるサービスがどのような戦略設計になっているかを理解しておくことで、事業の考えに寄り添った深みのある提案が可能になるとも思います。

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