mono.が考えるブランディングとは
2022.11.12
ブランディングという言葉、最近よく聞きませんか?
mono.もブランディングデザインという概念を大事にしています。
でも、ブランディングってすごく曖昧な言葉ですよね。
何となく分かるような気もするけど、よくよく話を聞いてみると人によって言っていることや定義が全然違うことも珍しくありません。
ブランディングをできている会社なんて本当に一握りしかいない!という考え方もあれば、私なんかはブランディングはどんな企業も行なっているとても身近な概念だと考えていたりもします。
非常に沢山の説がある中で、私が考える”ブランディング”というものについてまとめてみましたので、よければご覧いただけると幸いです。
結構長いですが、これでも大分カットしたのでそのうちまた続編を書くかもしれません。笑
ブランドとは”らしさ”
ブランドとは一言でいえば「らしさ」や「キャラクター性」と言い換えられると考えています。人間でいう性格や役割みたいなものです。
例えば会社での自分、友人といる時の自分、家族といる時の自分、、全てが同じキャラクターという人はあまりいないですよね。場所によって使い分ける人が大半だと思います。
これは、それぞれの環境での自分の見え方をブランディングしている、とも言えると思います。
例えばあなたがあるプロジェクトでのリーダーの立場だったとします。
仕事をしていると弱音を吐きたくなることもあると思いますが、その弱音を全部そのままメンバーに伝えることはないですよね。
「このプロジェクト、正直僕でやり通せるか不安だな…」
「初めての技術を使う案件だから失敗しないか不安だな…」
「この案件、条件が良くないから上手く行くか心配だな…」
悪い面を取り繕い過ぎるのもそれはそれで困り物ですが、とはいえこういう不安を全てメンバーの前で正直に話してしまっては頼りなく見えてしまい、誰も付いてこなくなってしまう。
だから、伝える内容や態度をコントロールして、内心苦しくてもなるべくメンバーにはそういう面は見せず、前向きな言動をしてリーダーらしい立ち振る舞いを心がける人が大半だと思います。
この「リーダーらしさ」を意識した立ち振る舞いは、リーダーとしての自分をブランディングする行為であると言えます。
もちろん、リーダーらしさも様々だと思うので上記の例だと共感しづらい人もいるかもしれませんが、
少なくとも自分がリーダーだったらこうしたい、という考えはきっと誰しも自分なりのものがありますよね。
リーダーに興味がなければ、友人、恋人、家族、、など他の環境に例えても良いですが、自分を取り巻く環境の中で自分がどう立ち振る舞うか全く考えたことがない人はいないと思います。
それぞれの環境であるべき”らしさ”を全うすることで、評価が得られ、仕事であれば取引先からの売上や社内での評価、友人恋人関係であれば信頼、といった成果に繋がっていく訳です。
この「”らしさ”を全うするためにどう立ち振る舞うか」の考え方を企業やサービスに当てはめるのがブランディングだと考えています。
ブランディングはどんな企業もやっていること
この記事を読んでいる方の多くは所属している企業や組織があるか、もしくはフリーランス含め、ご自身で事業をやられていると思います。もしかしたら学生の方もいるかもしれません。
そんな皆さんの会社や学校にもきっと”らしさ”ってありますよね。
例えば私の属するweb制作の業界でも様々な”らしさ”を持った会社があります。
- 複雑なシステム構築ができる会社
- アート作品のように美しいwebサイトを生み出せる会社
- webだけでなくグラフィックも出来る会社
- 売上に直結するLPの制作や構成に長けている会社
- コンテンツ作りが得意な会社
- どんなにページ数が膨大なサイトでも作れてしまう巨大な会社
- 知名度や発信力が抜群の会社
- とにかく低コストやスピード納品が可能な会社
など…
もちろん、スキル的な話に限らず、
- 皆揃って朝に出社するかフレックスやリモート勤務を取り入れるか
- 社内イベントをどんな風にするか、そもそもやらないか
- 社長の意志が強いトップダウン組織か社員の声も取り入れるボトムアップ組織か
- 多くの人を雇って大規模な組織を目指していくか、少数精鋭のチームを目指していくか
- 若手中心の勢いがある組織にしていくか、ベテラン中心の成熟した組織にしていくか
- 尖った発信をしていくか、幅広い人に受け入れてもらいやすい発信をしていくか
など企業文化だって”らしさ”です。
こういったポジショニングや経営方針/制度の決定など、様々な選択をどんな企業も行っていると思います。
そして、こういった選択の一つ一つによって意識的か、無意識的かは様々ですが企業の”らしさ”が作り出されていきます。
つまり、どんな企業も日々ブランディングという行為はしているのだと考えています。
なぜブランディング会社が存在するのか
ここまで、ブランディングというのは目指す成果を得るためにどんな企業にも必要な考え方で、どこか一部の企業だけが取り組む話ではないということをお伝えしてきました。
何の評価も売上も必要ない企業はおそらくいないですよね。
しかし、世の中全ての企業が何かしらのブランディングをしているはずですが、実際は全ての企業が上手く行っているわけではなく、中には売り上げが上がらず赤字や廃業に至ってしまうケースもあります。
それは、一定の成果を生む良いブランディングが出来ている会社ばかりではなく、成果に繋がらない良くないブランディングをしてしまっている会社も一定数いることが一因と考えています。
そこで、クライアント企業様のブランディングが良くない方向に進まないように、そして良い方向に進むようにサポートするためにブランディング会社が存在しています。
こう言うとすごく当たり前なことを言っている感じがしてしまいますが。笑
ブランディングを強みとしたデザイン会社(以下ブランディングデザイン会社と呼びます。)の場合は、企業の”らしさ”に寄り添いつつ、その企業の表現や発信が良い方向に向かうようなサポートやデザイン制作を行います。
ブランディングを根本から手がける会社の場合は、”らしさ”の定義から始まり、ポジショニング、制度設計といった事業設計の段階からサポートすることもあります。
mono.は個人事業ではありますが、ブランディングデザイン会社のような立ち位置でお客様をサポートさせていただいています。
ブランディングデザイン会社がやること
一定の成果を生むブランディングは、主に以下の3点が含まれる場合が多いと感じます。
- 言動や表現が常にその企業の持つ”らしさ”に紐づいて一貫されていること
- その”らしさ”を求める人or企業が一定数いること
- その”らしさ”に希少性があること
会社によっても考え方ややり方の差はあると思いますが、
ブランディングを強みとする会社は、こういった条件を満たす、成果を生めるアウトプットを、各社の守備領域で作っていきます。
といっても、ご依頼をいただいてすぐ制作物を作り始めることはまずないです。(すり合わせのためのラフやタタキを作ったりすることはありますが)
まず初めにクライアント様の持つ”らしさ”をヒアリングやディスカッション、ワークショップなど様々な手法を用いて丁寧に汲み取ります。
そして、汲み取った情報だけだと先に挙げた3つの項目を満たしたものが作れるイメージが湧かない場合は、
正直に懸念をお伝えして「例えばこういう考え方は御社に当てはまりますか?」とか「この2点のビジョンは相反してしまうと感じるのですが、優先度を付けるとしたらどちらの方が大事ですか?」など、落とし所が見つかりそうな段階までお話を整理させていただきます。
結構泥臭いし、良い答えが見つからず何十分も、さらにはミーティングの場で答えが出ず持ち越しになることもありますが、
ここをどれだけ根気強くやれるかが、良いブランディングを目指す上で非常に重要だと考えています。
そして、様々なお話を通じてお客様企業の”らしさ”や市場価値、希少性を理解した上で、
web制作会社であれば「言葉使い」「デザイン」「ストーリー」「サイト構成」「広告手法」…それぞれのエッセンスはどうあるべきか。ということを考え、色々なパターンを検証しながらアウトプットに落とし込んでいきます。
針の穴を通していくような感覚になることも珍しくないです。
これがブランディングを強みとしているデザイン会社のやることです。
ちなみに、実際にはこうして作り上げたものを公開して一区切りとなるプロジェクトが多いですが、本来的には、その後の市場の反応を見ながら、自分たちの伝えたいこと・やりたいこととのバランスを調整していくようなフェイズへと続いていきます。
(もちろん、ただ数字が良いもの、評判が良いものだけ残していく、という単純なものではなく、数字の成果と、ブランドのポリシーと、、他にも様々なものを掛け合わせながら最適な落とし所を考えていくのでこれも結構難しいです。)
まとめ
いかがだったでしょうか?
なかなか考えの分かれやすいテーマを語るのはドキドキするところではあるのですが、
- ブランディング自体は身近なものである
- でも、良いブランドを作るには泥臭さが重要
という2点が特にこの記事でお伝えしたかったことです。
もちろん、会社様によって考え方もやり方も全然異なるケースもあると思いますので、あくまでmono.の考え方として参考にしていただけると幸いです。
ブランディングの教科書
人によって定義のぶれやすいブランディングについて、言語化から実践するための方法までが一冊にまとまっています。